“2戸を1戸にリフォーム デザイン事例 #254 世田谷区”
2戸を1つにつなげて伸びやかに。空間ごとにシーンが切り替わる、オリジナルのプラン
ご両親が所有するマンションの1戸を住居とし、隣のもう1戸を書斎として利用していましたが、お子さまが成長するにしたがって手狭になり、2戸を1つにしてゆったり暮らしたいと考えていました。構造壁は撤去できなかったものの、入念な調査と構造計算に基づいて開口部を設け、2戸を1つにつなげています。既存の細かな間取りをデザインに活かしたこともポイントです。歩くごとにつぎつぎとシーンが切り替わるようしつつ、隣室とその奥の部屋まで見通せるようにし、ひと続きの部屋の床には同じフローリングを張って伸びやかな印象に。それぞれの独立した空間につながりを持たせるため、たくさんの視覚的効果を使っています。
BEFORE
AFTER
リビング・ダイニング
子供部屋からリビング方面を見渡すと、左はダイニングとリビング、右はキッチンとギャラリーと、居室が層のように連なって見えます。隣室だけでなくその奥の部屋まで見通せるように設計したことで、奥行きを感じながら、のびのびと暮らせるようになりました。足が自然と奥へ導かれるような空間構成で、移動するたびに変わる視界が新鮮です。
ギャラリースペース
コンパクトな玄関を抜けると、視界が一気に開けます。広々としたギャラリースペースの左の壁には、柔らかくあたたかい印象の大谷石。右の壁は、Yさんが自ら大胆な塗り跡を付けた珪藻土で仕上げて、2つの素材感の対比がうつくしく記憶に残る空間に仕上げました。大谷石は壁の裏側のキッチンまで張り巡らすことで、邸内に統一感をもたらすとともに、暮らしにぬくもりを添えています。
リビング・ダイニング
オリジナルでデザインしたウォールナットのTVボードは、隣のダイニングのPCカウンターと同じ素材・奥行きにして、2つの部屋がつながるように演出しました。また、TVボードの裏側にあたるギャラリーと、リビングの間仕切りの一部を半透明のガラスにして、光と人の気配を伝えています。きめ細かな工夫を凝らして隣室とのつながりや奥行きを持たせ、実際以上の広がりを感じられるようにしました。
キッチン
お子さまを見守りながら暮らしたい、というYさんご夫婦のご希望に沿って、独立していたキッチンを住まいの中心に配置し、ダイニングや子供部屋を見渡すことができるようにしました。さらに、南側を向いた対面式にしたため、リビングの先のバルコニーまで見通せるように。バルコニーの腰壁を撤去したおかげで、料理中でも庭の澄み切った景色をたのしめるようになりました。
バスルーム
以前は廊下や玄関だったスペースを取り込んで、広々とした浴室につくり替えました。さらに、これまでより浴槽を大きくし、浴槽を囲むタイルの腰掛けも幅広にして、ゆったりした入浴が可能に。壁や浴槽などを白でまとめ、清潔ですっきりとした印象に仕上げています。もともと玄関ポーチだった部分に設けた坪庭を、浴室の地窓からも眺められるようにし、視覚的な癒しも演出しました。
和室
南側の日当りのよいエリアはリビング・ダイニングを配置し、北側には客間や、奥さまの着物の着付け部屋として利用できる和室を設けました。市松模様の畳の下は収納スペースとしています。丸窓から注ぐ自然光が、ほの暗い室内をしっとりと照らします。南側とは趣を変えて、静寂感のただよう落ちついた空間に仕上げました。丸窓にはマンション共有の廊下に面した既存のサッシを隠す役割も。