完了検査

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本日は、完了検査の日。
お引き渡し前の最後の確認になるため、気を抜かずにチェックしていきます。
床や壁に傷がついていないか、塗装に色ムラがないか、照明は所定のスイッチで点灯するか、
ドアを開けたとき床を擦らないか、壁に当たらないか…。
例を挙げるとキリがありませんが、お施主さまが暮らしたときの行動をイメージしながら
あらゆる部分をきめ細かく見ていきます。

このような本格的な検査は、施工の大きな節目に合わせて行っています。

節目とは、解体からお引き渡しまでの間にある「解体検証」「中間検査」「完了検査」のこと。
それぞれ順序だてて完了しながら、最終目標である「お引き渡し」に向かって進んでいくわけです。

まず、最初に行う「解体検証」。これは、解体してみなければわからない状態をチェックしていく作業です。
ここで想像以上の劣化や予想しない柱・梁が見つかることがありますが、
その場合はすみやかにお施主さまに報告し、対処法を考えていきます。

次の「中間検査」では、お施主さま立ち会いのもと、床・壁・天井の位置や配置、
また照明やコンセントの位置を見ながら、設計図や打合せ内容と一致しているかどうかを確認します。
中間検査が終わると、床・壁・天井の仕上げの作業に入ってしまうため、この中間検査日を1つの目標として
下地部分や電気・設備などを完成させなければなりません。

その後、床やクロス貼りなど内装の仕上げ工事が完了したら、
お施主さま立ち会いによる「完了検査」へ。
お引き渡し前に、実物を見なければわかりにくい壁や床の色・風合いなどを見て、打合せの内容通りに
またキレイに仕上がっているかどうかを確認していただきます。
こちらの完了検査からお引き渡しまでの期間はだいたい1週間程度。
完璧な状態でお引き渡しができるように、気になった箇所があればこの期間中に修正します。

完了検査の前にも軽くクリーニングを済ませていますが、
お引き渡し前には再び、隅々まで磨き上げていきます。
この段階になると、本当にこの家ともお別れだな〜という気持ちがします。
とくにスケルトンの鉄骨階段を拭いている時は、設置のとき大変だったことがなつかしく蘇ってきました。

ピカピカに仕上がったこの住まいなら、
晴れやかな気分で新生活をスタートしていただけると思います。

2013 11/6 4:25 Posted by ST邸

階段の壁にパネル張り

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階段の壁の施工中です。
1階から3階の階段の壁には木目のパネルを張って、
LDKのイメージに合わせていく計画です。

このパネルは、合板などの表面に木目柄のシートを張ってつくられています。
壁の寸法を正確に測り、家具屋さんにオーダーしたパネルを
現場の職人さんたちが、図面と寸分違わず張っていきます。

既存の家に搬入するため、大きすぎると開口から入らないし、
小さすぎても施工作業が増えてしまうため、
ほどよい塩梅のサイズで設計しているところがミソです。
張るときに注意したいのは、継ぎ目が目立たないように木目をそろえること。
左右のパネル間の目地は、縦方向の木目なので、比較的模様をそろえやすいのですが
上下間の継ぎ目が目立たないように張るのは、いくら図面できちんと設計しているとは言え難しい。
上から下まで木目が連続しているように張った方が、
いかにも大木に包まれているようでほっとするし、美しいですよね。

現場には、デザイナーからたくさんの細かな指示が届けられます。
受け取った瞬間、ぎょっとするような複雑さ極まる指示もしばしば。
クラフトのデザイナーのこだわりは、もはや執念の域まで達しているわけです。
住まいは、安全で、機能的で、美しくなければならない。

3階は上階に続く階段が無いため、比較的サクサクと施工できます。
しかし、階段がある1〜2階が難しいところ。
写真でもわかるように、壁と階段の間にはわずかしかスペースがありません。
この間を縫うようにして、パネルを張っていきます。
この間にパネルを張る方法は、図面で指示ができない。
私たち現場担当のこれまでの技術とカン、経験で進めていきます。

何より、職人さんを含めた現場のスタッフには、
これまでどんなに無理難題な図面でも、かえってデザイナーが驚くような
技術で応えてきた、という自負があります。

今回もなかなか手間のかかる作業になりそうです。
みんなでがんばりましょう!

2013 10/3 4:23 Posted by ST邸

シャッター工事

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1階が事務所、2階・3階が住居のRC造のビルをリフォームしています。

こちらのブログでも度々書いておりますが、
RC造は間取り変更がしやすいため、住む人のライフスタイルに合わせた
自由なプランを楽しむことができます。

こちらの物件には、もともとガレージがなかったことから、
1階の事務所だったスペースの一部に、ガレージを設けることにしました。

基本的には、外壁を壊すときは構造計算をしなければなりません。
壁量が足りない場合は断念せざるを得ないこともありますが、
今回、ガレージを設けるために抜いた壁は検討の結果、
サッシと腰壁からなる非構造壁だとわかり、スムーズに撤去することができました。

さらに、セキュリティ面や、砂埃などの汚れから保護するために
写真のようにシャッターを設置。
ただし、シャッターがあっても、激しい雨が降れば
下のわずかな隙間から雨水が流れ込んでくる場合があるため
適切な水処理を行っています。

防犯を考えると、できるだけシャッターを取り付けた方がよさそうですね。

これでお施主さまには、大切な車を安心して駐車していただけるようになりました。

2013 9/30 4:23 Posted by ST邸

有孔ブロック

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孔の空いた小さな四角いブロックがいくつも並んだ様子は、ちょっとモダンな香りがします。
その幾何学的な模様が家の前に佇んでいるだけで、住まい全体の洗練さが5割増。
たかだか100mm程度の小さなブロックなのにそのくらい大きな効果があるから不思議ですね。

そして見た目だけでないところが、またすごい。
光も風もしっかり通しながら、近隣の人々の視線を遮るし、
そのくせ外からはうっすらと人影を確認できるため、
不審者を発見しやすいといったセキュリティー効果もあるのです。

唯一の難点といえば、職人さんの手をわずらわせるところでしょうか。
コンクリートブロックにもさまざまなサイズがありますが
みなさんがよく見かけるブロックは基本型と言って、
約190mm×390mmの大きさです。
それに対して、こちらの有孔ブロックは約100mm角なので、横幅は約4分の1。
この小さなブロックをひとつひとつ積み上げ、縦横に一定の間隔で鉄筋を入れ、
隙間にモルタルを詰めていくわけですから、それはもう果てしない作業です。

始めからブロックがいくつも組み合わさった状態のタイプもあり、これは施工側としてはかなり楽なのですが、
どうしても工場で継ぎ合わせた目地(つなぎ目)と、現場で組む目地では感じが変わってきてしまいます。
美的感覚からすると、これは避けたいところです。

というわけで楽な方法などなく、少しずつ、地道に進めていきます。
ちなみに今回は17列を19段も積み上げ、1人の職人さんが2日半かけて完成させました。
その仕上がりはかなり見応えがあるものになっています。

2013 9/26 4:22 Posted by ST邸

お風呂にテラスドア

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今回、お施主さまからいただいたご要望は、
「お風呂からテラスに出られるようにしたい」といったものでした。
涼しい風が吹く星空の下、バスタオル一枚で涼んだり、ビールを飲んだり…
想像しただけでわくわくしちゃいます。
「おーい、もう一本とってくれよ、ビール」
「もう、これで3本目よ。しかたのない人ね」
なんて言われつつ、お膳にはビールとともに枝豆が添えられている。
幸せだな〜とつぶやきたくなるに違いありません。

お施主さまがどのような使い方をするかはわかりませんが、
とにかくいただいたご希望を叶えるために、浴室の隣に小さなテラスを設けました。
浴室からバルコニーへ続くドアと、その隣の小窓には半透明の型板ガラスを採用。
外からの視線を遮りつつ、浴室内にたくさんの自然光を届け、また換気も十分に行えるようになっています。
実はこの浴室、浴槽も床も壁も、すべて黒で統一しました。
すべて黒のユニットバスに、黒いドアを組み合わせたことで、高級感のあるシックな雰囲気に仕上がっています。
あいにく既製品では黒いサッシの枠がなかったため、別注することに。
また、ユニットバスの場合は、浴槽のすぐ脇にシャワーがあるタイプがほとんどなのですが、
今回はその位置にドアを設けなければならなかったため、
浴槽の正面に設置できるようメーカーに依頼しました。
ユニットバスといえども、ドアを付けたりと手を加えたことで、
随分とオリジナリティが生まれています。

朝は明るい自然光に包まれて、のんびりとシャワーを浴び、
夜はテラスのドアを開放し、星空を眺めながらゆったりと入浴。
家族にはカラスの行水と言われている私ですが、
こちらを見ていると、そんな素敵な生活にもちょっと憧れてしまいます。

2013 8/8 4:22 Posted by ST邸

階段の施工

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階段の役割は、ただ「上る」「下りる」だけではなく、
空間を美しく演出したり、開放的に見せたりと、
さまざまな役割を持っています。
そのため、クラフトのデザイナーの階段に対するこだわりようと言ったら、
半端じゃない。
時には「芸術品でもつくっているのでは?」と聞きたくなるほど
凝りに凝った作品も登場しています。

さて、今回の階段には「光を落とす」という役割が与えられたようです。
1階がガレージ、2・3階が住居となるこちらの住まい。
生活空間の中心となる2階に光が注ぐように、
2〜3階にかけてはスケルトンの鉄骨階段にし、
3階の天井にトップライト(天窓)を設けました。
段板の隙間からこぼれる光は、木漏れ日のようにやわらかく
壁や階段ホールに美しい光の陰影を落としては、
上り下りするたびに心の癒しをもたらしてくれます。

さらに、2階の階段ホールの間仕切り壁をガラスにしたことで、
トップライトの光が周辺にも行き届くようになりました。
もともとここには、階段がなかったのですが、
この階段を設けたことによって、
居室に明るく伸びやかな印象が生まれています。
1階の階段は木で造作し、下部に生まれたスペースを
収納として活用していることもポイントです。

ちなみに、このように少ない部材で階段をつくる場合、
強度の高い鉄骨を使用するのが一般的ですが、
鉄骨階段はとても重いため、運搬や設置がとても大変です。
時々デザイナーに「重くて大変だったよ〜」なんて言ってみたりしますが、
こうして繊細な光が降り注ぐ階段を見ていると、心が軽くなりますね。
「がんばってよかった」と、しみじみ思う瞬間です。

Posted by ST邸

断熱工事

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住まいによっては断熱工事がなされてない場合があるため、
リフォームのタイミングに合わせて断熱チェックを行い
必要があれば補充します。
断熱材の原料にはガラスやウレタンから、古新聞やコルクなどの天然素材までさまざまで、
どれも性能や価格、また工法が異なってきます。
今回の住まいで採用した断熱材は、発砲ウレタン。
こちら、断熱性の高さはもちろんですが、
シックハウスの原因となる有害物質が含まれず、体にもやさしい。
さらに劣化しにくいというメリットがあります。
スプレー工法は隙間のない断熱層をつくることができるため、
結露による断熱性能の低下を防いでくれることもポイント。
施工がしやすく、工期も短縮できることから、
最近では、とても主流な断熱方法となっています。

この日は、車に搭載した材料の入ったドラム缶に、ホースを直接つなげて
専用のガンで躯体に直接吹き付けていきました。
このホース、マンションの10階まで届くほどの長さがあるため
駐車スペースさえ確保できれば、ほとんどの物件はこちらで対応できます。

ガンを左右に移動させながら、丁寧に上から下へと吹き付けていきます。

このとき大切なのが、ウレタン層を規定の厚さに統一すること。
厚みによって断熱効果が異なるため、それぞれの住まいに必要な効果を考慮して厚さを決定しています。
とは言え、吹いた後に発砲して厚みを増すのがウレタンですから
均一の厚みで吹き付けていくのは、
施工者のちょっとした技術が必要になってきます。
薄すぎると断熱効果が不足し、逆に厚すぎると内装下地に影響が出てくるため
その塩梅が、非常に難しいのです。

吹き付けが完了した後は、その定められた厚みが出ているかどうか、
ピンを使ってチェックすることになっています。
ピンには10mmから60mmまでの長さがあり、
そのなかから規定の長さのピンを選んで、ウレタン部分に刺していくだけという、わりとアナログな方法です。

ピンの根本までしっかりと差し込めるかどうか。
ピンがすうっと入ってくれれば気持ちがいいけれど、
逆にピンの頭が浮いてしまえば、『薄い』ということで、また吹き直しです。
そして吹き直した部分にピンを指して、もう一度厚さを確認。
おお、今度は大丈夫だ、よかった。
なんてことを心の中で叫びながら、全体を均等に仕上げていきました。

2013 8/7 4:20 Posted by ST邸

鉄骨階段 2

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こちらの住まいは、1階がガレージ、2階と3階が住居。
2階のLDKに、3階のトップライト(天窓)の光が落ちてくるように
2階から3階にかけてはスケルトンの鉄骨階段にデザインされています。

今日は、その鉄骨階段を取り付ける作業の続きです。

デザイナーが描いた図面をもとに、
鉄骨屋さんが約9mmの厚さの鉄板を組み立て、完成した鉄骨階段が現場に納品されます。
木造とは比べ物にならないほど重いため、搬入も設置もひと苦労。
数人が下から鉄骨階段を支えつつ、
1人が上からチェーンブロックでゆっくりと吊り上げていきました。
チェーンブロックとは、チェーンを引いて歯車を回転させ、モノを吊り上げる装置のことです。
かなりの重さにも対応できるうえ、リフォーム現場のような限られた空間でも
使いやすい大きさで、大変重宝しています。

手作業で行うため、それなりの力が必要ですし、所定の位置に合わせるのも結構大変です。

そうしてやっと設置が完了。
階段のささらを中央に配置したデザインも、すっきりとしていて
モダンなオブジェのように仕上がること間違いなし。

「設置できた!」とひと息つきたいところですが、
すぐに1階〜3階にかけて木目の化粧パネルを張る作業が始まります。
職人さんは、設置した鉄骨階段と壁のわずかなスペースに入りながら、
パネルの木目が揃うように貼っていくという、これもまた難易度が高い工事。

手間はかかりますが、完成すれば、木目の壁と鉄骨階段のクールさが
LDKのアクセントになるはずです。
今から完成が楽しみです。

2013 7/26 4:19 Posted by ST邸

鉄骨階段 1

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今回のリフォームで、階段室に重厚な鉄骨階段を設置することになりました。
階段室はスペースに限りがあるため、ある程度のサイズに分解した形で搬入し、
現場のスタッフが組み立てていくことになります。
事前にデザイナーが階段の設計図を描いていますが、
解体前は正確な寸法を測定できないため、あらためて開口の正確な寸法を測り、
階段の寸法を決めて行きます。

こうして出した正しい寸法をもとに、鉄骨屋さんに階段をオーダー。
今回は、デザイナーの意図する形どおりの鉄骨階段を
厚さ約9mmの鉄板でつくってもらいました。
現場に搬入できる大きさのピースに分けて納品されるのですが、
これがあまり小さすぎると、搬入はしやすいけれど現場の施工で手間がかかります。
そのため、ピースは搬入できる最大限の大きさで納品してもらいます。
ここの塩梅が、けっこう難しいのです。
ピース1つでもかなりの重さになるため、引き上げるだけでもひと苦労。
スペースが限られているため、大型の機械は使えず、
小型のチェーンブロックで上階から引き上げていくことになります。
チェーンブロックは、チェーンで歯車を回転させることで
モノを吊り上げる装置のこと。
かなりの重量のモノでも少しの力で引き上げられることから、
リフォーム現場では大変重宝しています。
今回も数人で下から鉄骨階段のピースを支え、1人が上からチェーンを引きました。
写真はまさにその作業中。
人の手で慎重に引き上げて行くため、鉄骨階段はゆっくりとと上がっています。
水平・垂直を保ちながら、定位置に納めて、溶接とボルト締め。
この鉄骨階段がリフォームデザインのポイントになるという意味でも
使い心地だけでなく、見た目も美しく仕上げる必要があります。
まだ作業は始まったばかりですが、
丁寧に進めて行きたいと思います。

2013 7/17 4:18 Posted by ST邸

キッチンダクト配管の開孔

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キッチンや浴室、トイレといった水まわりの移動は、
クラフトでリフォームすることになったお客さまから多くいただく
ご要望のひとつです。

今回は、キッチンを大きく移動するプランを採用。
ただし水まわりの移動となると、居室の移動のように壁や設備を動かすだけでなく、
『給水』『排水』『排気ダクト』の経路の確保を考えなければなりません。
キッチンシンクにはある程度の高さがあり、配管の勾配がとりやすいため、
上記の3つの経路のなかでも『給水』『排水』はわりと確保しやすくなります。
問題は、『排気ダクト』にあります。

魚を焼いたり、肉を焼いたりと、料理中はたくさんの煙や蒸気が出ますよね。
そんなとき、レンジフード(排気設備)が煙を吸い上げてくれますが、
この大量の煙を屋外に流す経路をつくるため、直径15cm程度の大きな孔を
構造のコンクリート部分に開ける必要がありました。
その孔は、どこにでも開けてよいわけではありません。

孔をあける前にかならず現場検証を行い、梁や柱の主要構造部を避けて
構造上問題のない場所を探していきます。

写真は、特殊な機械を使って一気に孔を開けているところです。
うまく経路が見つかり、お施主さまのご希望通りの位置にキッチンを移動
することができました。

2013 6/15 3:41 Posted by ST邸