合わせ鉄梁で補強

現在、木造2階建てのお住まいをリフォームしています。

お施主さまより「リビングをもっと広く使いたい」というご要望をいただき、
既存の2カ所の間仕切り壁を撤去することになりました。
壁の内部の柱も撤去することになり、
梁を入れ替えて、柱を飛ばすことに。

既存の梁の下に、木材の梁を入れるという方法もありましたが
今回はそれほど天井高が取れないため、不可能でした。

そこで、合わせ鉄梁での補強を計画。
H形鋼で小梁をかき込みながら、既存の柱を両側から合わせ鉄梁で挟みます。
これなら、木の補強に比べて梁成(梁の高さ)を低く抑えられるため、
天井高にも影響しません。

DSC_0028

高さ30cm、長さは450cm。
H形鋼は、木材よりもかなりの重量になるため、
5~6人で搬入するという大がかりな作業になりました。

H形鋼をボルトでしっかりと固定した後、挟んだ柱をカットします。
これで、ご希望の広々としたLDKが可能になるはずです。
これから床・壁・天井に仕上げ材を張っていきます。

「空間を広くしたい」というリフォームのご希望をいただいた時、
今回のように鉄骨の合わせ鉄梁で補強する方法や
既存の木梁に合わせて木で補強する方法などがあります。

どの方法でご希望を実現するか。
それを、既存の状態や安全性、経済性から探っていくことが
私たち現場監督の仕事です。

クラフトのデザイナーから「こんな空間にしたいんだけど」と相談を受け、
実現するための方法を真剣に考えていく作業は大変ですが、
こうして無事に終わると、かなりの充実感があります。

2015 6/30 9:00 Posted by SZ邸

ダイケンの吸ホル養生ボード

建設業でいう「養生」とは、仕上げた部分を保護することを言います。
きれいに仕上げた床や壁が傷だらけになってしまったら、
またやり直し。
場合によっては取り返しがつかなくなることも多いため、
養生は現場における非常に重要な仕事のひとつです。

そのなかでも床の養生は特に重要です。

DSC_0028

こちらのお住まいの床は、スギ板の無垢フローリング。
スギはもともと柔らかいうえ無垢材のため、汚れやすく傷つきやすい材料です。
テープを貼っただけで跡が残る可能性があるので、養生には特に注意が必要です。

今回の床養生では以下の点に気を付けました。

・ダイケンの吸ホル養生ボードで出来るだけ隙間なく養生する。
→吸ホル養生ボードは適度に柔らかく、軽くて厚みもあるので、
床養生に適している。加工もしやすい。

・ 床に直接テープを貼らずに吸ホル同士でテープ接着し、
自重で動かないようにする。
→床にテープを貼ると、テープ跡が残る可能性があるため。

・壁から約5㎝離して吸ホルボード貼る
→巾木や壁面の作業をするときや、床からの寸法を測るときのために。

・建具枠下はすぐにめくれるように小さくカットした吸ホルボードを貼る
→建具部は作業量が多いため。

このように、いろいろ注意していても
吸ホルボードは柔らかいので歩いただけでホコリがでてしまいます。
また、吸ホル同士に隙間が空いていると、
テープを貼っていても無垢フローリングに日焼け跡が残る可能性も。
さらに、職人さんが壁を作業するときに
吸ホルボードをオトコらしく豪快にはがされることもあります。
「ああ〜現場が汚れる〜」なんて叫んじゃいます。

これらの対策としては、

・吸ホルの上にブルーシートを重ね貼りする。
→吸ホルのホコリが出なくなり、掃除もしやすい。安価で済む。

・ 床材が無垢などの日焼けの可能性のある材料の場合、
吸ホル同市を布ガムテープなど厚いテープで接着する。
→日焼けしない

・ 壁際は20㎝程度の幅でカットした吸ホルボードを貼り、
簡単にめくれるようにする。
→雑にはがされることはなくなり、簡単にもとに戻る。

床養生だけでも、けっこう考えながらやっています。

それでも完璧な養生というのはなく、
僕たち現場監督が注意しながらその都度直していかなければなりません。
直す手間をできるだけ少なくできるような
養生の方法を今後も考えていきたいものです。

2015 1/20 3:33 Posted by SZ邸