浴槽の再生塗装

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現在、都内のヴィンテージマンションをリフォーム中です。
居室は一旦スケルトンにして大規模なリフォームを進めていますが、
浴室は既存を活かします。

既存の浴室は在来工法です。
やり替えるとなると、工期もコストもかかるし、
お施主さまご自身も、こちらの浴槽に愛着をお持ちだったことから
既存の浴槽を再利用することになりました。
既存活用とは言っても、壁の仕上げはタイルから大理石に替えたため、
浴室のイメージは随分変わると思います。

既存の浴槽は、ホーロー製です。
ホーローの仕上げはガラス質で、独特の光沢やなめらかさがあり、
高級感・重厚感をたっぷりと感じさせてくれます。
ただし、使っているうちに表面のガラス質が剥がれていき、
それが錆びやひび割れの原因になってしまうこともあるため、
メンテナンスも必要です。

今回、浴槽の表面を再生するために塗装しました。
使ったのは、サーモグレーズ再生塗装という、オーストラリアで開発された塗料。
古くなった浴室設備の表面を強化し、よみがえらせてくれるという特殊塗料で
老舗ホテルや外資系ホテルのバスルームの再生にも使われています。
既存の浴槽の上からコーティングするため
解体してつくり替えるよりも工期が短く、低コストで済ませることができるのです。

それでも、ムラがないように手作業で塗っていくため
乾きを含めて2日間かかりました。
塗装後は真っ白でぴかぴか、陶器のような光を放っています。
そこまでご不満はない浴室でしたが、イメチェンして大正解でした。
新品同様に生まれ変わった浴室に、ご満足いただけそうです。

クラフトのリフォームは、とにかくすべてをつくり変えるのではなく
上質な設備であれば既存を活かします。
状態によっては、取り替えたほうがよい場合もありますが
思い入れや愛着がある場合は、デザイナーに相談してください。
きっと、何らかのカタチで残せるように努力してくれるはずです。

2014 3/20 3:01 Posted by MG邸

レベラー

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小春日和が気持ちのよい日。
こうした明るい日差しは、レベラー施工にもってこいです。
レベルとは、水平という意味です。
水のように流動性のあるレベラーを床スラブに流し、表面張力で平らに
する作業。
なぜこのような作業が必要かと言うと、
フローリングや畳の下のスラブには少しの凹凸があるため
必ずしもキレイな水平になっていないからです。
しかし、少しでも凹凸があるとドアが開きにくかったり、
床板が割れてしまったりと、暮らしに支障が出てきます。
水平にする方法としては主に、乾式の「二重床」と、湿式の「レベラー」
があります。
「二重床」は「置き床システム」とも呼ばれ、
クッションゴムのついた支持脚ボルトをスラブの上に置いて
フローリングの下地となるパネルを支える工法です。
支持脚ボルトを調節して凹凸をなくし、床を上げながら水平を出していく。
これならスラブと床の間に空間ができるため防音効果もありますし、
ここに配管を通し、水まわりを大きく移動することもできます。
ただし、床が上がった分だけ天井高が低くなってしまうことがネックです。

最近では天井高にこだわるお施主さまもいらっしゃいますから、
「床をあまり上げたくない」というときはレベラーで調節します。
非常にさらりとしたレベラーをスラブに流せば、自然に水平になります。
床は10〜30mmしか上がらず、高い天井高を確保できることが最大のメリット。
さらに、玄関などとの段差ができにくく、住まい全体をフラットな印象に見せることもできます。
レベラー施工前に、現場で粉状のレベラー材に水を混ぜて堅さを調整していくわけですが、
濃すぎると思うように流れてくれないし、薄すぎると固まりにくいため、
規定にしたがって正確に割ることがポイントになります。

しかも「ただ流せばいい」というわけでもありません。
スラブの凹凸が激しく、レベラーだけでは調整できない場合、
レベラーの前にモルタルで補修する必要がありますし、乾くまではその空間の工事が
できなくなるため、乾式二重床と同じくらい大変な作業です。
どちらが優れているか、というのは明言できませんが、その住まいの状況や
お施主さまが求める空間や性能によって選択しています。

写真は、もともと和室だった空間を洋室につくり替えるため
畳を剥がしてレベラー材を流し、手作業でそっとならしながら、
水平を出しているところです。
完全に乾いて水平かどうかを確認できたら、カーペットを敷いていきます。

2014 2/7 2:59 Posted by MG邸

天然木突き板の施工

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玄関からリビングにかけて、一面の壁に天然の木突き板を張っていきました。
突き板とは、うつくしい木目の木材を薄くスライスしたもので、
木肌のきめ細かな質感や風格を、室内に手軽に取り入れられることから
音楽ホ―ルやオフィス、ホテルの内装などにもよく使用されています。

使用しているのは、『サンフット』という約0.35mmのシート。
さまざまな樹種のなかからインテリアに合わせたものを選び、
好きなカラーに塗装することができます。
今回は、ホワイトアッシュ板目をダークブラウンで塗装しました。
表面にはっきりとした木目が現れていて重厚な印象です。
ただし、壁と造作家具の色を統一するデザインとなっており、
それぞれを別々の業者さんが納品するため、その色合わせがとても大変でした。

突き板シートは、壁に専用の接着剤で一枚ずつ貼っていきます。
空気が入らないように、シワが寄らないように、素早く丁寧に。
さらに、それぞれのシートのつなぎ目がわからないようにすることも大切です。
広面積の壁に、これまた大きな突き板シートを貼っていくわけですから
ちょっとのズレや歪みが大きな命とりになるのです。
施工するのは突き板シート専門の職人さんですから、安心なんですが、
その様子を側で見ていると、結構はらはらします。

しかし、さすがプロですね。
接合部分もまったくわからないほどに、見事に納まりました。

突き板シートはかなりの薄さにスライスされているため
下地に少しでも凹凸があると、そのまま表面に出てしまいます。
そのため下地はできるだけフラットに仕上げることが大切です。

既存の建具にも同じ突き板を貼って、壁と同調させました。
終わったあとには、きれいに仕上がっているかしっかりとチェック。

一面に天然木を張るだけで、空間がぐっと引き締まります。
上質なホテルのような雰囲気が生まれました。

2014 2/3 2:56 Posted by MG邸

解体工事

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本日、マンションの解体工事が始まりました。
マンションには管理組合によって管理規約が定められており、
工事時間が決まっていたり、フローリングが使用できなかったりと、
そのマンションごとにさまざまな制約があります。
そのため、工事を進める前には必ず管理組合に申請し、
管理規約をきちんと守りながら工事を進めていくようにしています。
もちろん、近隣へのご挨拶も欠かせず、クラフトの担当者とお施主さまが一緒に挨拶に回って
少しでも心証が良くなるように配慮。
これから長く住み続ける家だからこそ、管理組合や近隣の方々に誠実な対応をすることが大切です。

今回も、騒音や工事時間に気を配りながら、慎重に解体を進めていきました。
さらに、エレベーターの専有を控えたり、車の駐車位置に気をつけたりと、
できるだけ近隣の方のご迷惑にならないように注意しました。
こちらのマンションは50世帯ほどある近隣には工程表を配り、
工事の進行をお知らせしなければならない決まり。
フローリングはNGで、水まわりのみ、タイルの使用が可能というように、
管理規約は輪をかけて厳しいものでした。
土日の工事はもちろん不可で、平日も17時には道具をすべて片付けて撤収しなければならないため、
夕方になるとまさに時間との勝負。
少し特殊だったのは、空調と換気の交換。
築年数が古いマンションのため、設備をすべて交換することになっていますが
マンション全体をメンテナンスしている指定業者に依頼しなければならず、
少しだけ予算がかかってしまいました。
これから下地をつくっていくわけですが、アンカーの打ち込みも禁止となっており、
接着剤で固定しなければなりません。
その他にもいろいろと厳しい決まりごとがあり、なかなか監督泣かせの現場です。
職人さんたちに「くれぐれも周囲の迷惑にならないように・・・」と口酸っぱく言いながら、
作業の進行にも目を尖らしていなければならず、いつもより骨が折れそうな予感。
それでも、厳しい管理規約はきちんと管理がなされている証拠。
このようなマンションには暮らしてからの安心感があります。

とくに高級マンションやタワーマンションは、他と比べて規約が多いことがありますが、
きちんと守りながらリフォームを行えばそれほど難しいことでもありません。
また、もし厳しい管理規約のせいで希望どおりのプランが実行できない場合は、
デザインや照明を工夫してお客さまの理想を実現できるようにしています。
煩雑なリフォームの申請手続きなども、クラフトで代行していますので、
あまり時間がない方、煩わしいことが苦手な方は、ご相談ください。

2013 11/5 2:54 Posted by MG邸