解体現場

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リフォームするお宅の解体現場にうかがうと
時々、すばらしい意匠に出会うことがあります。
技術のある大工さんによって建てられた住まいは、
解体しているときに、その腕前がはっきりとわかるものです。

今回工事をした築年数の古い木造住宅。
和室の天井は、とても印象的なデザインに仕上げられていました。

照明によって、模様が白く艶やかに浮かび上がる様子が
なつかしいような、新鮮なような、不思議な気分を誘います。
今で言うと、和モダンとでも言うのでしょうか。
おおらかな凹凸のある幾何学模様は、純和風の空間のなかに
モダンな印象をもたらしています。

こちらを設計したデザイナーは、どのような意図でこのデザインにしたのか。
どれほどの技術がある職人さんがこの天井をつくったのか。
飾り気のない純粋な和室だからこそ、天井に凝らされた意匠がぱっと目にとまり、
「すごいな〜」と感心してしまいました。
ちなみにクラフトのスタッフは私も含めて、プライベートでも大の建築好き。
と言うよりもむしろマニアな部分があるため、現場にいた営業やデザイナーたちと
この天井を話題に大いに盛り上がりました。
この素敵なデザインをリフォームデザインに活かすことも考えたのですが、
お施主さまの思い入れがそれほどなかったことと、
今回のリフォームのデザインコンセプトに合わなかったことから、
最終的に解体することになりました。

当時の設計者や職人さんたちに敬意を払いつつ、解体作業へ。

このリフォームが終わり、お施主さまが暮らしはじめて
また何十年後かリフォームすることになったとき、
その設計士や職人さんたちが「お、いい仕事しているな〜」なんて
ちらりとでも思ってくれたら、仕事冥利に尽きますね。

2013 7/19 4:29 Posted by WI邸