フローリングの防音

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床からは、その素材の質感がダイレクトに伝わってきます。
普段の視界に入ることが多く、また直接肌に触れるからです。
とくに、小さなお子さまやペットがいるご家庭は、
床で過ごす時間が多くなるため、質感をより感じやすいかもしれませんね。
一戸建てやマンションを問わず、クラフトのお客さまのなかに
「フローリングは絶対に無垢材がいい」という方が増えています。

何故だと思いますか?
もちろん、合板フローリングにもメリットはたくさんあります。
合板フローリングとは、数枚の板が重なった合板の表面に
薄い無垢材を貼り付けたフローリングのことで
無垢フローリングよりも傷つきにくく、膨張や収縮、反りやねじれが置きにくいことが特徴です。
一方、無垢材はキズが付きやすいし、湿気で反ったり、日焼けで変色したりと
デメリットのほうが多いような気がします。
メンテナンスも大変で、コストもかかりますしね。
ただし、キズがついても変色してもカッコいいのが無垢材のすごいところ。
またメンテナンスが大変と言いつつも、乾いたフローリングにオイルを塗ると
また生き返るような艶が生まれ、愛おしさが増します。
「やっぱり無垢材がいい」という気持ちになってしまうのもわからないでもないですね。
コストが気になるときは、LDKなどメインの空間は無垢材で子供部屋は合板と
使い分けるとよいかもしれません。

ただし、無垢フローリングを使う場合はしっかりとした防音工事が必要です。
とくにマンションの場合は、騒音が近隣トラブルの原因になるほど重大な問題。
他人の生活音が気になって眠れない方も、毎回苦情を言われる方も、どちらも辛いものです。
マンションの管理規約では、防音規定が定められています。
遮音等級がLL-45(上階の物の落下音が小さく聞こる)から
LL-40(上階の物の落下音はほとんど聞こえない)が一般的です。
ほとんどのマンションは、防音フローリングなどを張ることで遮音規定をクリアしています。
これは、合板の裏に貼ったラバーやスポンジが衝撃音を吸収するというフローリングで、
少しふわりとした感触があります。
無垢フローリングにはこのような防音性能がないため、
下地や構造でプラスの工事をして防音規定を満たさなくてはなりません。
無垢材の下に遮音性と吸音性のあるゴムシートを敷きつめる、床を二重にする、スラブ厚を利用する、
というように、音を防ぐ方法はさまざまです。
ただし、ヴィンテージマンションやタワーマンションといった特殊なマンションでは、
フローリングの使用が禁止という場合があるため、
物件購入前に管理組合に問い合わせをしたほうがよいかもしれません。

今回リフォームしたマンションは、無垢フローリングの下に「木の香(このか)」
という防音下地材を敷き込んでいます。
こちらは遮音制振マットと、耐水パーティクルボード、エアクッションで構成されていて
マンションでもとくに厳しいLL-40に対応しています。
写真は敷き終わって、無垢材を上から釘で打ち付けている最中。
施工中も、無垢フローリングの重厚感や優しさが伝わってきます。
一枚持ち上げるごとに感じるどっしりとした手応えと、滑らかな手触り。
長い時間をかけながら変化していく様子も、ぜひ楽しんでいただきたいです。

2013 7/10 3:03 Posted by MR邸