クラッシャーで斫り(はつり)工事

今日はRCの戸建ての解体作業で、壁を斫り(はつり)ました。
〈斫る〉とは、建築用語なのでご存知のない方もいらっしゃると思います。
コンクリート躯体の壁や床を削ったり、壊したりすることです。

「うるさい」とか「近所迷惑」といったイメージがあるかと思いますが、
通称クラッシャーと呼ばれているこちらを使えば、問題はありません。

騒音や振動が非常に少なく、
同じく斫り工事に使う電動工具の削岩機よりも、かなり静かに斫ることができます。

マンションなど近隣への配慮が必要な場所で、
それほど迷惑にならないように作業したいときは
こちらのクラッシャーを使用することが多いです。
もちろん、マンションの管理組合に許可をとる必要があります。

壁や床のコンクリート躯体に孔を開け、クラッシャーの刃を挟み
油圧シリンダーの圧力によってコンクリートを静かに破砕。

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ただし、全てのコンクリートをこのクラッシャーで斫ることはできません。
例えば、タイルを張るために床のモルタルを5cmほど〈削りたい〉とき。
壁を〈壊す〉のにはぴったりなクラッシャーですが
床を〈削る〉のには向いていないからです。

そんな場合は、電動工具の削岩機を使うことになります。
先述したように削岩機は騒音が響くため、
必ず管理組合に許可を得ると同時に、
近隣住民の方々へ工事の案内をお知らせします。

とくに注意が必要なのは、近所に病気の方や小さなお子さまが暮らしている場合。
どうしても大きな音を出せないときは
職人さんに手作業で斫ってもらう方法もあります。
ただし、この方法では工期が長くなり、
「カンカン」という音が絶え間なく鳴り続けます。

小さな音とはいえそれが数日間続くと、さすがに気になるでしょう。

ご近所の方が外出される数時間の間に
削岩機で一気に削ってしまう方が、
結果的には迷惑を最小限に抑えられたりしますから
一概にどの方法がベストと決めることはできません。

管理組合に住民の方々のライフスタイルを伺いながら
近隣の方へのご迷惑を最小限に留める方法を模索することも
クラフトの現場監督の仕事です。

わりと地味な作業のように思われがちな斫り工事ですが、
実はリフォーム工事全体の中でも、とても気を使う作業です。

2015 12/15 10:16 Posted by UM邸