米国在住のご夫婦がRCビルをリフォームしたら

〈高級リフォーム〉〈鉄筋コンクリート造リフォーム〉

ある日のこと、

「事務所兼住居だったビルを買いました。どんなリフォームができますか?」

とご相談いただきました。
さっそく営業とデザイナーで、そのビルを見に行くことに。

「大きい…」

というのがみんなの第一印象でした。

地下一階から地上3階まで、ワンフロアだけも相当な広さ。
しかも、こちらには夫婦2人で住むそうです。

アメリカ在住のSさんご夫婦は、たびたび日本に帰国されるとか。
その間の2~3週間はホテル暮らし。
「ホテルは落ち着くけれど、なんだかくつろげない」という贅沢なお悩みがあったようで、
日本滞在中の住まいとして、こちらのビルを購入されたそうです。

ご希望は、クールモダンの住まい。

というのも、今アメリカでお住まいの家は、典型的な欧米住宅。
装飾が施されたクラシカルでゴージャスな邸宅が想像できます。
奥さまは「せっかくなので」と、それとは全く違うテイストをご希望になったわけです。

そして完成したのが、こちらの空間です。

 

たくさんの仲間が訪れてもゆとりのある、大きなLDK。
壁と天井の濃淡や凹凸で、大きな空間に表情をつくりました。
さらに縦横のシルエットを意識したことで、整然とした印象に。
かくして、ご希望のクールさとモダンさを叶えることができました。

 

 

しかし、これだけでは住まいに必要な”あるモノ”が欠けています。

くつろぎです。

その役割を果たしているのが、あたたかい素材感。
ルーバーやバーカウンターにはウォールナット、床や壁には大理石を使用しました。
自然素材の美しい木目や石目が、空間にぬくもりを与えています。

とくにリビングは、木と大理石に囲まれた格好で、
大空間ながらもこもったような気分で落ち着ける、居心地のよいスペースになっています。

このような大空間だからこそ、インパクトのある素材たちを
効果的に使うことができたと言えそうです。

どこにもないオリジナルの住まい。
Sさんご夫婦は帰国するたびに、我が家への愛着が深まるはずです。

もうひとつのこだわりが、地下1階から地上3階までのゾーニングです。
「帰国のたびに、仲間たちと集まります」とおっしゃっていたSさん。

 
というわけで、LDKにはバーカウンターを設けました。
シンクや製氷機、冷蔵庫はビルドイン。
親しい仲間と会話をしながらお酒をつくる様子は、
バーのマスターさながらですね。

さらに、地下1階にはプレイルーム、半地下にはゲストルームも設けています。
地下1階から地上2階のLDKは、ゲストが好きに行き来できる空間。
地上3階は、寝室やバスルームといったプライベートな空間。

パブリックとプライベートがはっきりと分かれているため、
「私たちは先に休みますから、みなさんゆっくりどうぞ」なんてこともできるのです。
 

プレイルームにもバーカウンター完備。お酒を飲みながら音楽を聴いたり、楽器を演奏したり。
ゲストにたのしく遊んでいただけるような大人の空間です。

大きな空間が単調にならないよう、奥行きと表情を演出。
壁と天井に凹凸をつくり、そこに生まれた隙間に間接照明を入れました。
天井には太い2本の梁がクロスしていましたが、1本は天井を下げてフラットに。
もう1つは壁につなげてL型のゲートのように見せ、こちらも大空間のアクセントにしました。

こちらは半地下のゲストルームです。
 

グレーの壁に赤が効いた、モダンな空間。
寝室とバスルームの間の壁は、上部にFIXガラスを入れました。
こうすることで、限られた空間に伸びやかさを演出。
寝室にいるとバスルームの気配が、バスルームにいると寝室の気配を感じ
ゆったりとした気分が。

正面の壁をせり出すように設け、間接照明を入れて凹凸を強調。
くり抜いたようなニッチとともに、縦横ラインを強調しています。

ゲストルームの浴室も素敵です。
 

ワニ皮とレザー調のタイルを貼って、シックな雰囲気。
FIXガラスや寝室のせり出した壁と、ラインを揃えて。
寝室とバスルームにつながりを持たせています。

今回、Sさまのリフォームの目的は2つありました。
1つは、ご自身が帰国時にリラックスできる空間。
ホテルのような上質感がありながらも、愛着が持てるような住まいにしたい。

もう1つは、仲間と気兼ねなく過ごす空間。
家の中を自由に行き来してもらいながら、
一緒にたのしい思い出をつくりたい。

こんな2つの思いから生まれた住まいは、
お2人にとっては決して広すぎることはありません。
帰国するたびにたくさんの仲間が訪れているそうです。

2016 5/18 8:38 Posted by リノベーション実例

海を感じる家

〈一戸建てリフォーム〉〈木造リフォーム〉〈中古を買ってリフォーム〉

あんなに寒かった冬が終わり、桜の季節を迎えると
もう夏のことを考えてしまいます。

山にキャンプに行くのもいいけど、せっかくなら夏は海をたのしみたい。
どちらかと言えば泳ぐのではなく、海の近くのホテルで波の音を聞きながら、
静かに過ごせたら。

そんな思いから生まれたのが、こちらのセカンドハウスです。

 

「中古物件を買ったんですけど、見にきてもらえますか?」
というお問合せをいただいたのが、一年前のお正月。

そこは、海の近くの丘の上に建つ、築28年の一戸建てでした。
冷たい風を感じながら坂道を上がり、ふと振り返ると湘南の海。
夏にはさぞかしキレイだろうな、と思いながら現地にたどり着きました。

長いこと誰も住んでいなかったこともあり、クロスや障子は破れ、畳もよぼよぼ。
デザインも昔ながらで、間取りも細かく分かれていて…
とにかくこのままでは住めない状態でした。

テーマは、海を感じる家。

 

まずは使わない和室を取り込んでゆったりとしたLDKに。
既存の船底天井は、ダイニングの手前まで拡張。
そうしてオークのパネルを張り、天井高を強調して、開放感をぐっとアップ。
窓を開けると、心地よい潮風が家中をめぐります。

オイル塗装により、無垢の素材感をそのまま残したヨーロピアンオークのフローリングは、
夏の素足にさらさらとした心地よさです。

 

ダイニングの床は、一段アップ。
こうしたのには、大事な理由があるのです。

海の方向にあるダイニングからは、
ご近所さんの屋根の向こうに海を望むことができます。

しかし、座ると見えない。

テーマは「海を感じる家」なのに、座ると海が見えない家なんて、いいわけがない。

悩んだクラフトのデザイナーは、こうして床を上げることで、
ダイニングテーブルに座りながら、海の景色を眺められるようにしたのです。

「夏の間を過ごすだけだから、食事は近所のレストランで済ませるだろうな。
でも、朝食や、ちょっとしたおつまみなんかは作るかもしれない」

ということで、キッチンはできるだけミニマムにまとめました。

 

生活感が出ないように、リビングから見えない位置にレイアウト。
ダイニングとはひと続きのため、食事の準備もスムーズです。

壁には手づくりのぬくもりを感じるサブウェイタイルを貼り、リラックスした空気を演出。
一夏分の水やお酒、食料をストックできるように、隣に大きなパントリーを設けています。

自然素材を使い、既存の船底天井を活かしたセカンドハウス。
何かをするわけではなく、ただただ波の音に耳をすませ、美味しいワインをいただく。
そんな贅沢なひとときがあることを、教えてくれそうです。

今年の夏は、どのような過ごし方をされるのでしょうか?

2016 3/29 8:55 Posted by リノベーション実例

古い家具がなじむ家

マンションリノベーション今のお住まいをリノベーション

手に吸い付くようにしっとりとした水屋箪笥の上には、
奥さまがこれまで集めてきたという、古伊万里の食器が並んでいます。

「ここにもあるのよ」と水屋箪笥を開けてくださり、のぞいてみると
大小さまざまな古い食器がぎっしりと重ねられていました。
筋金入りの骨董ファンだということは、言うまでもありません。

   

「じゃあ骨董品を活かしたリノベーションなのね?」と思った方、
ちょっと惜しい。
今回のリノベーションのメインは、別のところにあるのです。

「リノベーションする日がきたら、使いたいと思って」と
奥さまが3年ほど前から買い集めてきたのは、古い建具と水屋箪笥。
なかでも万本格子の建具は、行きつけの古い建具屋さんで偶然見つけた
お気に入りなのだとか。
万本格子の特徴は”万”のつくその名の通り、とても細かく繊細な格子。

「この一対の万本格子の建具を見つけたとき、
『もう次は出会えないかもしれない』って思って、
買っちゃったんです。そうしたら、リノベーションをすることが決まって、
また素敵な万本格子の4枚セットを見つけたから、こちらも『えいっ』と(笑)」

クラフトのデザイナーが託されたのは、
リノベーションで、それらが調和する住まいをつくることでした。

まずは、お気に入りの万本格子の建具をどのように活かすか。
そのまま飾りにしたのじゃつまらないし、
せっかくなら2枚1組でどーんと使いたい。

そこで幅の大きな一対の建具は、LDKのメインの入り口に取り付けることに。
経年しているからこそ備わった堂々たる風格は、空間に重厚感を与えています。

   

敷居滑りは昔ながらの竹、引き戸の枠は建具と同じ檜(ひのき)を使用。
今回のリノベーションで新たに設けた部分は、
建具に合わせ、長い時を重ねたような風合いに塗装しています。

伝統的な素材やおさまりにこだわりながら施工したため、
建具を開けたり閉めたりするときの手応えは、実にリアルです。

残る4枚は、一枚ずつばらばらにトイレや洗面、納戸の引き戸として使いました。
とくに洗面室の建具は、間口に合わせて幅を伸ばし、LDKの建具と同じ色に塗装。
こちらも建具の枠を現場で塗装し、経年変化したような味わい深さ。

どこまでもリアリティーにこだわります。

   

こうして古い建具が調和する、趣きある空間が誕生。

しかし、懐古的になりすぎることは、ちょっと避けたいと思ったデザイナー。
そこでほんの少し、しかしたくさんの部分に
モダンな間取りやデザイン、素材を取り入れています。
現代には、現代に合った暮らしやすさがありますからね。

たとえば、今回のリノベーションではキッチンを大きく移動し、
キッチン~洗面室~廊下を回遊できる動線をつくりました。
このおかげで、奥さまの家事効率はグンとアップしたそうです。

また、建具の設置には檜や竹といった昔ながらの素材を使ったものの、
フローリングにはすっきりとしたイメージのウォールナットを使用。

伝統的な工法や納まり、素材にはこだわるけれど
こうしてモダンな要素を取り入れて、
しつこいようですが「今の暮らしに合った」過ごしやすい空間をつくりました。

   

漆塗りの岩谷堂箪笥の上には、奥さまが生けた華やかなお花。
型にとらわれない、奥さまオリジナルの生け方が
ノスタルジックな空間に不思議なくらいマッチしていました。

   

組子細工の間仕切りは、玄関から見たときに
洗面室の入り口を目隠しするのに設けました。
格子のサイズ、色にこだわってオーダーしており、
福井の職人さんによる手づくりです。

取材を終えて帰り際、玄関まで見送ってくれた奥さまが
「これもとってもお気に入りなの」と、
やさしく組子細工をなでる様子が、とても印象的でした。

ゆるぎのないセンスをお持ちで、理想の空間がはっきりしている奥さま。
デザイナーは、奥さまのイメージをしっかりと共有し
そこに、クラフトらしい納まりの美しさや心地よさをプラスすることで
ご満足いただける空間をつくることができました。

企画部

2016 2/9 8:44 Posted by リノベーション実例