鉄骨造の耐震診断の進め方

耐震診断がどのようなときに行われるかをご存知でしょうか。

建築基準法に基づく現行の耐震基準は、
昭和56年6月1日に導入されました。
つまり、それ以降に着工した建築物は、
いわゆる「新耐震基準」の建築物となります。

そして、それ以前に着工した建築物は「旧耐震基準」の建築物となり
耐震性に不安が残ります。
そこで、この不安を解消するために補強をしましょう、
という事になるのですが、補強をする前に
どの部分がどの程度、耐震性が劣るかを
きちんと把握する必要があります。

そんな時、「耐震診断」を行います。
木造でしたらクラフトでもできるのですが、
RC造(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)の場合は、
構造設計事務所に依頼することになります。
新築の構造計算と同じですね。

今回、昭和55年に建てられた鉄骨3階建てのリノベーションと合わせて、
耐震診断のご依頼を頂きました。
そして、耐震診断→耐震改修設計→耐震改修工事の全てのステップに対し、
行政の助成金の申請をご希望でしたので、
ステップごとに構造設計事務所と連絡を取りながら、
行政への届出などを行い、順次進めていく事になりました。

この場合、ひとつが終わらないと、次のステップに進む事はできず、
通常のリノベーション計画よりも、かなり日数がかかる事になります。
ですが、耐震診断も数万円ではできませんので、
たとえ全額助成してもらえないとしても、
お施主さまにとっては、有益な制度に違いありません。
(各行政によって、助成額などが異なります)

先日、耐震診断を行う前の現地調査を行いました。
今回は鉄骨造のため、まずは柱、梁が見える部分を探します。
幸い天井を外せる箇所がありましたので、
そこから天井裏を覗き込みます。

この調査を実際に行うのは、
構造設計事務所が手配してくださった調査専門会社の方。
新築時の構造図通りの柱や梁が使われているかなどを
部材寸法を測りながら図面と照合します。
次に、調査専門の業者さんしかできない
超音波探傷試験(UT)を行いました。
S造(鉄骨造)の柱と梁は、溶接により一体化されております。
しかし、一見きちんと溶接されているように見えても、
溶接内部がきちんと溶けて一体になっているかは外部からは分からないため
超音波探傷試験にて調査することになります。

その機械がこちらです。


念のため、軒天井も開口し、
調査してもらいました。

 

結構、辛そうな態勢ですね。

現在もお住まいのため
開口は、次の日にきちんと塞ぎ直しました。

この調査結果をもとに、後日、構造設計事務所が耐震診断を行います。
まだ、私のもとへ結果が届いておらず
良い知らせを待っている状況です。

このように耐震診断は、各ステップに時間をかけて進めることになります。
ご希望の方は、営業や設計士にお早めにご相談ください。

設計担当:佐藤

2015 5/26 8:55 Posted by 耐震・構造

ちょっとレアな、木造の基礎補強

築50年以上の木造住宅をリフォームしています。

こちらのお住まいは、耐久性がかなり弱っていたため
ベタ基礎方式と呼ばれる方法で
基礎を補強することにしました。

ベタ基礎は、基礎の立ち上がりと、
底面の鉄筋コンクリート全体で住まいを支えるため、
耐震性や耐久性が高く、また湿気も予防します。
そのため、今では新しい木造住宅のほとんどに
ベタ基礎が採用されているくらいです。

設計担当が描いた基礎の図面に従って、
クラフトの現場監督が指揮をとり、
職人さんたちが補強工事を行います。

まずは地面を掘って、砂利を撒き、転圧。
湿気を防ぐ防湿シートを敷いて、
鉄筋コンクリート打設のための下地をつくりました。

その後、既存の基礎コンクリートと木材の土台を
金物で補強。

基礎・土台補強専用の強靭な金物を使っています。

これから耐圧盤を設ける予定の底面と、外周の地盤には
雨水の浸入を防ぐための高低差が必要で、
そのために生じた、基礎と立ち上がりの間の傾斜に合わせて
職人さんが鉄筋を折り曲げています。

専用の機械を使ってはいるものの、
これだけの鉄筋を1つひとつ曲げていくとなると
けっこう大変そうです。

既存コンクリートの立ち上がりには
一定のピッチでケミカルアンカーを打っています。
ケミカルアンカーは、あと施工アンカーとも呼ばれており、
ドリルで既存コンクリートに開けた孔に
接着剤を充填してボルトを固定することで
既存コンクリートと、補強コンクリートをつなげます。

このとき、『目荒らし』という作業も大切。
立ち上がりの表面を削って凹凸をつくり、
補強コンクリートの定着を高めます。

先ほど職人さんが曲げた鉄筋を取り付けました。

これから底面全体にも鉄筋を通し
コンクリートを打設していきます。

作業の途中、クラフトの現場監督はたびたび足場に上って
全体の様子をチェックしていました。

とても重要な工事なだけに、その視線は鋭いものです。

このように大規模な基礎工事となると、
完成まで1週間以上かかってしまいますが、
古い住まいでも、基礎が新築同様に生まれ変わり
安心して長く暮らせるようになるなど、
そのメリットは大きなものです。

リフォームやリノベーションと言うと
内装やデザインばかりが注目されがちですが、
いくら見た目が美しい住まいでも耐震性や耐久性がなければ
長く住み続けることはできません。

お客さまには、なかなか口で説明できない複雑な工事。
このブログで、少しでもイメージしていただけるといいな…
と思っています。

営業担当:堀口

2014 5/12 9:00 Posted by 施工,耐震・構造

動的耐震診断

7~8年前に中古物件を購入し、クラフトでリフォームをされたお客様。
当時で築16~17年、新耐震基準が適用されていた物件でした。

先日の東日本大震災を受け、築24年となった今、
家の耐震性がご心配だ。と、ご相談をいただきました。
早速、ご対応をさせていただいたのですが、ひとつ考慮する点がありました。
それは、新築時にあるはずの筋交いの配置などが記載されている図面が存在していないことでした。
図面がなくとも、耐震性を測れる方法として、
今回は「動的耐震診断」という形をとりました。

この「動的耐震診断」とは、専門の診断士が訪問し、
2つの方法で耐震性を総合的に判断していきます。

ひとつは、水平起振器(下写真参考)の揺れを利用して、
実際に建物(木造2階・3階建て住宅)に小さな地震を起こし、
建物の揺れを東西南北4点に設置した地震計が把握し、解析します。
地震を起こす、といっても震度1~1.5レベルの振動ですので、建物に影響はありません。

2つ目は一般診断として、床下や小屋裏に入って筋交いの位置を
目視で確認出来る範囲で調べます。
所要する時間としては2~3時間程度です。

これらの調査を行い、診断結果を基に補強工事を行った後、
再測定をすることもできます。
そうすると、補強工事の効果を確認することも出来ます。

こちらのお宅も、診断結果を受け、補強工事を行いました。

お住まいのどの部分に補強が必要か、
的確に診断できる「動的耐震診断」。
これからも活用する場は増えそうです。

営業担当:向

2012 10/23 8:08 Posted by 耐震・構造