美しいガイシ引き配線。

 

古い建物に入ると、写真のような配線をたまに見かけます。
職業柄、変わった配線だと気にはなっていたのですが、
配線の名称すら分からず放置していました。

今年、実家に帰省した際の話です。
有田にある焼き物屋さんで、例の配線が施してありました。
お店の方も詳しい事は分からないものの、ただ配線を巻き付けてある
白い磁器のようなものが、有田焼だという事はご存知でした。

そこでネットで調べたところ、白い磁器が「碍子(ガイシ)」という
もので、電線を支持・絶縁する為に使用するもので、
こういった配線が「碍子引き配線」と呼ばれる事が分かりました。

 
(出典:聖和電工

現在、宅内の配線で使われている配線はビニル被覆で絶縁されたものを使用しますが、
昔の配線は布で巻かれたものだった為、碍子を使い周囲のものと距離をとり
感電や漏電のリスクを防いできたようです。

有田にある香蘭社という会社は、深川栄左ヱ門をはじめとした高級食器で有名ですが
じつは、日本ではじめて磁器製の碍子を開発されたそうです。
それで有田のこの辺りでは、こういった配線の名残があるのかもしれません。

東京に戻り、年配の電気屋さんに碍子引きの事を聞くとご存知でした。
古い建物に入るとたまに見かけるそうで、改装等で碍子を撤去する現場があれば、個人的に
碍子を保管されているそうです。 

レトロな空間が好きで、古民家のリフォーム等で意図的に碍子を取り入れる方もいるそうですが
それでも碍子を使う仕事がほぼ無いそうなので、
碍子引きの工事を出来る方も少なくなってきているそうです。

ひょっとしたら地元の年配の職人さんで出来る方がまだいらっしゃるのかもしれませんね。

 

ちなみに話を聞いた電気屋さんは、50年ほど前に少しかじった程度だとかで
「少しなら出来るけど、すべて碍子引きとなると難しいな〜」とおっしゃっていました。

碍子引きの施工要領があるのですが、慣れていないと時間ばかりかかりますし、
通常の施工順でもなさそうなので、管理する側にも知識と経験が求められます。

碍子の仕入れや仕上りやその後の保守等考えると、専門業者にお願いしたほうがよいでしょう。
ただし、東京にそういう業者がどの位いるか、今後どの位事業の持続性があるかは、ちょっと未知数。

そう考えると、東京での碍子引き配線はかなりハードルが高そうです。

施工担当:松尾

2017 2/7 9:34 Posted by CRAFT PRODUCT