黒皮鉄の階段とキッチン

男性一人暮らしのお住まいを、
ラフで趣のある空間にリフォームしています。

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「ここはかっこよく存在感のある素材を使おう」ということで
階段とキッチンの背板に黒皮鉄を使用しました。
黒皮というのは、鉄の表面を覆っている薄い皮膜のことです。
普通の鉄はこの皮膜の上から塗装やメッキを施しますが
“黒皮鉄”はその皮膜をあえて残しています。
自然現象で表面にできた濃淡が、無骨で荒々しい存在感を放つので
ちょっと強い素材感がほしいときは、大活躍してくれます。

大変だったのは施工です。
キッチンも階段も、工場で曲げ加工を行いました。
鉄板は5mm以上もの厚さがあるため、
曲げているうちに機械の跡がつかないようにとても気を使いました。

キッチンの背板用鉄板は、大きさ1200mm×2600mm、厚さ5ミリ。
数字ではわかりにくいかもしれませんが、これがかなりの重さで、
搬入がものすごく大変でした。
エレベーターには入りきれなかったため、5人で抱えて階段を上ることに。
「そこぶつかりそう! よし、もうちょっと!」といつにもなく職人さんたちを励ましながら
無事に搬入することができました。

また普通なら、いくつかの作業を平行して進めるのですが
スチール階段は現場溶接をするときに、エンジン付きの溶接機から
音と排気ガスが出るため、それ以外の作業はすべてストップ。

さらに、マンションを17時までに退去しなければならないという規定も
スケジュールをうまく組み、なんとか1日で作業を完了できました。

いつもの施工よりもかなり時間と手間がかかりましたが
この苦労も吹っ飛んでしまうほどの出来映えになりました。

階段の折り曲げ部分は、色が変色していて、これがまたカッコいい。
黒皮鉄の魅力が満載という感じです。
黒皮鉄は、経年で少しずつ風合いが変わることも魅力の1つ。
鉄は自然素材ではないけれど、
自然素材と同じように経年変化をたのしめるようになり、
素材にこだわりのあるこちらのお施主さまなら
絶対に喜んでくれるだろうな、と思いました。

2015 3/27 10:13 Posted by GT邸