お引き渡し

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ちょうどお盆休み前の今日、お施主さまへの引き渡しとなりました。
夏の盛りの暑さもあり、また工事内容も少し大変なものだったので
完成したときは心からほっとしました。

クラフトでは、できるだけ住民の方がいらっしゃらない時間帯に工事を行う、
ホコリを飛ばさない、タバコを吸わない、エレベーターを独占しない、
など近隣の方のご迷惑にならないためのさまざまな配慮をしています。

それでも今回、近隣の方からの強いご要望で、
全窓を閉めた状態で工事を行うことに。

季節は暑さの盛りですから、それはもう、炎天下に駐車した車内のような
この世のものとは思えない暑さ。
吹き出る汗をタオルで拭いながら、作業を進めていきました。

そうしたなか、私たちをとくに悩ませたのがレベル調整です。
レベル調整とは、この床面のガタつきをなくして
水平になるように調整すること。

なぜ水平にこだわる必要があったかと言うと、
6枚も連なった引き戸を取り付けるため。
既存の床では少しのガタつきがあるため、
床との接合面にやや高さのある敷居を入れなければ設置できない状態でした。
しかし、それでは野暮ったい印象になってしまいますね。

フローリングは、カーペットなどと異なり、
少しの床の歪みでも表面に現れてしまいます。
そこで今回のように、レベルを調整して正確に水平を出してあげたことで
開閉もスムーズ、見た目もすっきりとスマートに仕上げることができました。

クラフトのリフォームはデザインの美しさを重視しているため
「施工性」よりも、断然「美しさ」を選びます。
そしてそのこだわりが、私たち現場の仕事をいっそう複雑なものにしているのですから、
こんな暑い日には、デザイナーに「ちょっと勘弁してよ〜」
なんて言いたくなっちゃう気持ちも、少しくらいはご理解いただきたいです。

しかし、こうしてお引き渡しの日を迎え、お客さまの喜んでくださる顔を見ていると、
「やっぱりやってよかった」と思う。

日々、この繰り返しです。

2013 8/10 3:07 Posted by MR邸

中間検査終了

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中間検査が無事に終わりました。
このブログで、わりと中間検査について書かせていただくことが多いのは
中間検査が終わると完成のめどが立ち、
「ブログを更新しようかな」なんて心の余裕が生まれるからかもしれません。

中間検査の時点では、大工工事までが完成しています。
仕上げ工事はまだ行ってないものの、床の土台・床組・合板張、
壁と天井の下地組・ボード張りや、建具のフレームなどがはめ込まれていて、
それらの骨組みから空間の構成が体感できるようになっています。

中間検査には社内で行う検査と、お客さまと一緒に行う検査の2つがあります。
クラフト社内の中間検査では、現場監督・設計・営業が一緒に構造部分や下地などに
不備がないかどうかを厳しくチェックしていきます。
仕上げをしてしまうと見えなくなってしまう部分は、目視できる最後のチャンスです。
時間をかけてかなり丁寧に見ていくため、正直終わった頃にはへとへとですが、
これくらい徹底的にしなければなりません。
阪神淡路大震災では不備によって倒壊した住まいが多かったことから、
中間検査の重要性が改めて唱えられるようになりました。
自然災害による被害をできるだけ防ぐためにも
現場監督として襟を正して挑まなければならない、大切な作業の1つです。

そしてもう1つは、お客さまの立ち会いのもとで行う中間検査です。
お客さまと一緒に床・壁・天井の位置関係や、
電気とスイッチの位置などが図面どおりに配置されているか確認していきます。
仕上げの後では修正工事が大掛かりなものになってしまうため、
この段階で正確かどうかをかなり細かく確認していただきます。

こうしてお客さまからOKをもらい、ほっと胸を撫で下ろすことができました。

これから仕上げ工事へ入ります。
仕上げ工事はお化粧のようなもので、床に無垢のフローリングや艶やかなタイル、
壁にクロスを張ったりすると、まるで別人みたいに豊かな表情が生まれます。

モダンだったり、ホテルライクだったり、アンティーク調だったりと、
お客さま好みのテイストに彩っていきます。
こちらの住まいの場合は、LDKのオープンの部分にはスタイリッシュなキッチンを置き、
クールな空間ができあがる予定です。
お客さまの理想の住まいが少しずつ完成しています。

2013 7/11 3:06 Posted by MR邸

フローリングの防音

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床からは、その素材の質感がダイレクトに伝わってきます。
普段の視界に入ることが多く、また直接肌に触れるからです。
とくに、小さなお子さまやペットがいるご家庭は、
床で過ごす時間が多くなるため、質感をより感じやすいかもしれませんね。
一戸建てやマンションを問わず、クラフトのお客さまのなかに
「フローリングは絶対に無垢材がいい」という方が増えています。

何故だと思いますか?
もちろん、合板フローリングにもメリットはたくさんあります。
合板フローリングとは、数枚の板が重なった合板の表面に
薄い無垢材を貼り付けたフローリングのことで
無垢フローリングよりも傷つきにくく、膨張や収縮、反りやねじれが置きにくいことが特徴です。
一方、無垢材はキズが付きやすいし、湿気で反ったり、日焼けで変色したりと
デメリットのほうが多いような気がします。
メンテナンスも大変で、コストもかかりますしね。
ただし、キズがついても変色してもカッコいいのが無垢材のすごいところ。
またメンテナンスが大変と言いつつも、乾いたフローリングにオイルを塗ると
また生き返るような艶が生まれ、愛おしさが増します。
「やっぱり無垢材がいい」という気持ちになってしまうのもわからないでもないですね。
コストが気になるときは、LDKなどメインの空間は無垢材で子供部屋は合板と
使い分けるとよいかもしれません。

ただし、無垢フローリングを使う場合はしっかりとした防音工事が必要です。
とくにマンションの場合は、騒音が近隣トラブルの原因になるほど重大な問題。
他人の生活音が気になって眠れない方も、毎回苦情を言われる方も、どちらも辛いものです。
マンションの管理規約では、防音規定が定められています。
遮音等級がLL-45(上階の物の落下音が小さく聞こる)から
LL-40(上階の物の落下音はほとんど聞こえない)が一般的です。
ほとんどのマンションは、防音フローリングなどを張ることで遮音規定をクリアしています。
これは、合板の裏に貼ったラバーやスポンジが衝撃音を吸収するというフローリングで、
少しふわりとした感触があります。
無垢フローリングにはこのような防音性能がないため、
下地や構造でプラスの工事をして防音規定を満たさなくてはなりません。
無垢材の下に遮音性と吸音性のあるゴムシートを敷きつめる、床を二重にする、スラブ厚を利用する、
というように、音を防ぐ方法はさまざまです。
ただし、ヴィンテージマンションやタワーマンションといった特殊なマンションでは、
フローリングの使用が禁止という場合があるため、
物件購入前に管理組合に問い合わせをしたほうがよいかもしれません。

今回リフォームしたマンションは、無垢フローリングの下に「木の香(このか)」
という防音下地材を敷き込んでいます。
こちらは遮音制振マットと、耐水パーティクルボード、エアクッションで構成されていて
マンションでもとくに厳しいLL-40に対応しています。
写真は敷き終わって、無垢材を上から釘で打ち付けている最中。
施工中も、無垢フローリングの重厚感や優しさが伝わってきます。
一枚持ち上げるごとに感じるどっしりとした手応えと、滑らかな手触り。
長い時間をかけながら変化していく様子も、ぜひ楽しんでいただきたいです。

2013 7/10 3:03 Posted by MR邸