ただ今、屋根工事の途中です。
屋根に乗っている物体は、瓦などに比べるとはるかに薄くて軽い屋根材です。
それでもたくさん集まれば、かなりの重量になってしまいます。
写真では、この屋根材をランダムに置いているだけのように見えますが、
屋根材の重さが一カ所に集中し、下にある構造体に負荷をかけないために
わざと散りばめているのです。
そういえば、最近、瓦の住宅が減ってきたような気がしませんか?
古い民家などではまだ健在ですが、黒く、どっしりと重厚な日本瓦などが
さざ波のようなシルエットで整然と積み重なっている様子は、
いかにも日本的で、風格を感じさせます。
江戸時代まで瓦は寺院や貴族の家だけに使用され、庶民は茅葺き、藁葺き屋根だったそうです。
しかし、火事が多い江戸の家には燃えにくい瓦のほうがいいだろう、
との考えから庶民にも瓦屋根が広がっていったのだとか。
瓦は燃えない、水を透さない、腐らない、と見た目どおりの剛健さで日本中に浸透していきました。
日本では、そんな時代から現代まで瓦文化が続いてきたのですから、
その実力は言うまでもありません。
しかし、問題点もあります。
それは重すぎる、ということ。
今では軽量の瓦も開発されており、一概には言えないのですが
屋根は住宅の一番上にあるため、重ければ重いほど、家全体が振り子のように大きく揺れます。
家を地震から守るためには、できるだけ軽い屋根材がよい、という考えから
日本瓦が使用されることが少なくなってきたようです。
そういうわけで、今回のお住まいも、瓦屋根からコロニアルの屋根に葺き替え。
釘で打ち付け、その釘部分が見えないように重ねていきます。
こちらの素材は、薄くて軽いのはもちろん、断熱性や耐久性、豊富なカラーがあり、
色褪せしにくい、さらに、アスベストを使っていないという、優秀でスマートな素材です。
軽い屋根に替えるだけで、耐震性が高まることもあるんですよ。
お住まいの地域の気候や、施工する人の技術によって異なりますが
メンテナンスをきちんとすれば30〜50年は持ちます。
せっかくなのでリフォーム時に、屋根の葺き替えも検討してみてください。
中古物件をリフォームするとき、どこもかしこも気になってしまうかもしれませんが、
まずは「安全の確保」と「この家で何年暮らしたいか」、また「予算」から
優先順位を決めていくとよいのではないでしょうか。